大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

朝影に我が身はなりぬ・・・巻第11-2619

訓読 >>>

朝影(あさかげ)に我が身はなりぬ韓衣(からころも)裾(すそ)のあはずて久しくなれば

 

要旨 >>>

朝影のように私はやせ細ってしまった。なかなか裾の合わない韓衣のように、あなたに逢わない日々が続いているので。

 

鑑賞 >>>

 恋やつれをした人の歌です。男か女かは分かりません。朝影になっている我が身というのは、朝の影に映る自分のように細く、長く、つまりそのくらい痩せてしまったということ。「韓衣」は中国風の衣服のことで、大和風の衣服のようには前あわせの部分が重ならないため、裾もあまり重なりません。そのように逢わない日が久しく続いたとして、「あはず」を引き出す序詞となっています。「あはずて」の「ずて」は、~しないで、の意。

 

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