訓読 >>>
朝影(あさかげ)に我が身はなりぬ韓衣(からころも)裾(すそ)のあはずて久しくなれば
要旨 >>>
朝影のように私はやせ細ってしまった。なかなか裾の合わない韓衣のように、あなたに逢わない日々が続いているので。
鑑賞 >>>
恋やつれをした人の歌です。男か女かは分かりません。朝影になっている我が身というのは、朝の影に映る自分のように細く、長く、つまりそのくらい痩せてしまったということ。「韓衣」は中国風の衣服のことで、大和風の衣服のようには前あわせの部分が重ならないため、裾もあまり重なりません。そのように逢わない日が久しく続いたとして、「あはず」を引き出す序詞となっています。「あはずて」の「ずて」は、~しないで、の意。