大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

潮満たばいかにせむとか・・・巻第7-1216

訓読 >>>

潮(しほ)満(み)たばいかにせむとか海神(わたつみ)の神が手(て)渡る海人娘子(あまをとめ)ども

 

要旨 >>>

潮が満ちて来たらば、どうするつもりなのだろうか。海神の支配する恐ろしい場所を渡っている海人の娘たちは。

 

鑑賞 >>>

 海を見馴れていない都の人が、海人の娘たちが干潮時にの沖の岩礁で漁りをしているのを眺め、海の怖ろしさから岩礁を海神の手と見て、もし満潮となってきたならばどうするだろうと心配している歌です。

 なお、「海神が手渡る」の「手」を「戸」の誤字だとして、「海の神の海峡を渡る」と解する説もあります。