大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

鴨すらもおのが妻どちあさりして・・・巻第12-3091

訓読 >>>

鴨(かも)すらもおのが妻(つま)どちあさりして後(おく)るる間(あひだ)に恋ふといふものを

 

要旨 >>>

鴨でさえ、妻と一緒に餌をあさっているうちに、妻が少しでも遅れると恋しがるというのに。

 

鑑賞 >>>

 夫から冷たくされている妻が、夫婦で一緒に餌をあさっている鴨を見て、鴨は、連れ合いが少し離れただけでも恋しがるというのに、自分はその雌鳥にも及ばない、と嘆いている歌です。「すらも」は、でさえ。「妻どち」は、妻と一緒に。「あさり」は餌を探し求めること。