大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

石上降るとも雨につつまめや・・・巻第4-664

訓読 >>>

石上(いそのかみ)降るとも雨につつまめや妹(いも)に逢はむと言ひてしものを

 

要旨 >>>

石上の布留(ふる)ではないが、いくら降っても、雨に妨げられてなどいようか。妻にに逢おうと約束しているのだから。

 

鑑賞 >>>

 大伴像見(おおとものかたみ)の歌。大伴像見は、天平宝字8年(764年)の藤原仲麻呂の乱で功を上げ従五位下を授けられ、後に従五位上に進んだ人。『万葉集』には5首。「石上」は、奈良県天理市石上で、その地にある「布留(ふる)」を転じて「降る」の枕詞にしたもの。「つつまめや」は、妨げられてなどいようか。妻の家へ出かけようとした際、雨模様となってきたのを気にかけつつ、わが心を励ましています。