訓読 >>>
秋の雨に濡(ぬ)れつつ居(を)ればいやしけど我妹(わぎも)が宿(やど)し思ほゆるかも
要旨 >>>
秋の雨に濡れて佇んでいると、粗末ながらも妻の住む家が思われてならない。
鑑賞 >>>
作者は大伴利上(おおとものとしかみ)とあるものの、他には見えず伝未詳。大伴村上(巻第8-1436~1437ほか)の誤りではないかともいわれます。「いやしけど」は、粗末だけれど、むさくるしいけれど。「かも」は詠嘆。遠くない旅先での歌ではないかとされます。
大伴村上は、宝亀2年に従五位下・肥後介となり、同3年従五位上で阿波守となった人。