大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

逢はなくは然もありなむ・・・巻第12-3103~3104

訓読 >>>

3103
逢はなくは然(しか)もありなむ玉梓(たまづさ)の使(つかひ)をだにも待ちやかねてむ

3104
逢はむとは千度(ちたび)思へどあり通(がよ)ふ人目(ひとめ)を多み恋つつぞ居(を)る

 

要旨 >>>

〈3103〉逢えないことがあるのは仕方ないでしょう。だけど、お便りを運ぶ使いさえも待ちわびなければならないのでしょうか。

〈3104〉逢いたいとは何度も思っていますが、ひっきりなしに往き来する人の目が多いので、ただ恋いつついることです。

 

鑑賞 >>>

 問答歌。3103は、男の疎遠を恨んだ女の歌、3104はそれに返した男の歌。3103の「然もありなむ」は、それも仕方がない。「玉梓の」は「使」の枕詞。3104の「あり通ふ」は、続いて往き来している。「人目を多み」は、人目が多いので。