大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

思はぬに時雨の雨は降りたれど・・・巻第10-2227

訓読 >>>

思はぬに時雨(しぐれ)の雨は降りたれど天雲(あまぐも)はれて月夜(つくよ)清(さや)けし

 

要旨 >>>

思いがけず時雨が降ったけれど、いつのまにか雲がなくなって、月明かりとなったよ。

 

鑑賞 >>>

 「月を詠む」作者未詳歌。この歌について斎藤茂吉は次のように言っています。「言葉がいかにも精煉せられているように思う。それも専門家的の苦心惨憺というのではなくて、尋常の言葉で無理なくすらすらと云っていて、これだけ充実したものになるということは時代の賜といわなければならない」。