大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

海原の道遠みかも・・・巻第7-1075

訓読 >>>

海原(うなはら)の道(みち)遠(とほ)みかも月読(つくよみ)の明(あかり)少なき夜(よ)は更けにつつ

 

要旨 >>>

海原を渡ってくる道が遠いせいか、月の光が少ししか届かない。夜はもう更けてきたというのに。

 

鑑賞 >>>

 「月を詠む歌」、作者未詳。「遠み」は、遠いので。「かも」は疑問。「月読」は、月を神格化した表現。月が遠い海原を渡ってこの国土にやって来るというのは、月は海のものとする上代からの信仰にもとづく表現です。曇ってもいないのに月の光が少ないのであれば、それは潮気のせいでしょうか。