大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春日山おして照らせるこの月は・・・巻第7-1074

訓読 >>>

春日山(かすがやま)おして照らせるこの月は妹(いも)が庭にも清(さや)けかりけり

 

要旨 >>>

春日山の一面に照り渡っているこの月は、私の恋人の庭にもさやかに照っていることだよ。

 

鑑賞 >>>

 「月を詠む歌」、作者未詳。「春日山」は、奈良市東部にある山。「おして」は、光が上から押すように強く照らしているさま。一帯を照らす月明かりの中、愛しい女の家にやって来たら、その庭にも月の光がさやかに差し込んでいた、その感慨を詠んだ歌です。女の家は、春日山の裾、春日野のあたりにあったようです。