大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

笠なしと人には言ひて・・・巻第11-2684

訓読 >>>

笠なしと人には言ひて雨(あま)障(つつ)み留(と)まりし君が姿し思ほゆ

 

要旨 >>>

笠がないのでと人には言って、雨宿りして泊まっていったあなたの姿が思い出されます。

 

鑑賞 >>>

 「寄物陳思(物に寄せて思いを述べた歌)」。「人には言ひて」の「人」は家人。「雨障み」は、雨を憚って。まだ家の人には夫婦として認められていなかった関係らしく、笠が無かったので仕方なく泊まったのだと言い訳したのでしょう。妻問い婚ならではの歌であり、実際の会話を彷彿とさせてくれます。