大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

東歌(34)・・・巻第14-3544

訓読 >>>

阿須可川(あすかがは)下(した)濁(にご)れるを知らずして背(せ)ななと二人さ寝(ね)て悔しも

 

要旨 >>>

阿須可川の底が濁っていること、そう、心が濁っているのを知らずに、あんな人と寝てしまって、なんて悔しい。

 

鑑賞 >>>

 女の歌。「阿須可川」は、大和の明日香川か東国の川か未詳。「下濁れる」は、男が不誠実だった喩え。「背なな」は、女性から男性を親しんでいう語。「背な」の「な」がすでに親愛の接尾語なのに、語調を重んじて「な」を重ねています。「悔しも」の「も」は詠嘆の終助詞。相手の内面をよく知らないまま関係を持ってしまったことを後悔している歌です。