大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春霞 流れるなへに・・・巻第10-1821

訓読 >>>

春霞(はるかすみ)流るるなへに青柳(あをやぎ)の枝くひもちて鶯(うぐひす)鳴くも

 

要旨 >>>

春霞が流れるにつれて、青柳の枝をくわえたウグイスが鳴いている。

 

鑑賞 >>>

 「霞」といえば、たなびくという表現が多いなかにあって「流れる」としたのは、中国の詩に影響されたのではないかといいます。流れる霞、青柳、花の枝をくわえて飛ぶ鳥の3つの道具仕立ても中国趣味のようです。国内によく植えられているしだれ柳も、古く中国から渡来した樹木で、春から夏、細長い葉が茂ると「青柳」と呼びます。「なへに」は、折しも、それとともに、の意。

 

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万葉集』に詠まれた鳥

1位 霍公鳥(ほととぎす) 155首
2位 雁(かり) 66首
3位 鶯(うぐいす) 51首
4位 鶴(つる:歌語としては「たづ」) 45首
5位 鴨(かも) 29首
6位 千鳥(ちどり) 22首
7位 鶏(にわとり)・庭つ鳥 16首
8位 鵜(う) 12首