大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

秋の夜の月かも君は・・・巻第10-2299

訓読 >>>

秋の夜(よ)の月かも君は雲隠(くもがく)りしましく見ねばここだ恋しき

 

要旨 >>>

あなたは秋の夜の月なのでしょうか。しばらくの間雲に隠れて見えなくなっただけで、こんなに恋しくてならないなんて。

 

鑑賞 >>>

 「月に寄せる」歌。雲に隠れて、ほんの少しの間でも見えないと、たちまち気になってそわそわしてしまう、だからもっとたくさん逢いに来てほしいと、言外にいじらしくお願いしている歌です。「君」は夫のこと。「しましく」は、しばらく。「ここだ」は、甚だしく、たいそう。