大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

天雲のそきへの極み・・・巻第19-4247

訓読 >>>

天雲(あまくも)のそきへの極(きは)み我(あ)が思へる君に別れむ日近くなりぬ

 

要旨 >>>

天雲の果てまでも限りなく思っている母上に、お別れしなければならない日が近くなりました。

 

鑑賞 >>>

 阿倍朝臣老人(あべのあそみおゆひと:伝未詳)が遣唐使の随員として唐に渡る直前に、母にさし上げた悲別の歌。「老人」は名であって、年寄りの意味ではありません。「そきへ」は、遠方。敬愛する母を残して旅立つ子の苦悩であり、シングルマザーの一人っ子の歌のように感じられます。