大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

百済野の萩の古枝に・・・巻第8-1431

訓読 >>>

百済野(くだらの)の萩(はぎ)の古枝(ふるえ)に春待つと居(を)りし鶯(うぐひす)鳴きにけむかも

 

要旨 >>>

百済野の萩の古枝に春の訪れを待っていたウグイスは、もう鳴き始めているだろうか。

 

鑑賞 >>>

 山部赤人の歌。「百済野」は、奈良県北葛城郡広陵町百済にある野とされますが、「くだら」の名の地は関西には何か所かあり、大阪市天王寺区と見る説もあります。百済国からの帰化人がいたための名だろうとされます。春の光景を眼前にして、まだ冬だった頃に見かけた百済野の萩の古枝にいた鶯を思い出しています。斎藤茂吉はこの歌を評し、「何でもないようであるが、徒に興奮せずに、気品を持たせているのを尊敬すべきである」と言っています。

 

万葉集』の代表的歌人

第1期(~壬申の乱
磐姫皇后/雄略天皇舒明天皇/有馬皇子/中大兄皇子天智天皇)/大海人皇子天武天皇)/藤原鎌足/鏡王女/額田王

第2期(白鳳時代
持統天皇柿本人麻呂/長意吉麻呂/高市黒人志貴皇子弓削皇子/大伯皇女/大津皇子/穂積皇子/但馬皇女石川郎女

第3期(奈良時代初期)
大伴旅人大伴坂上郎女山上憶良山部赤人/笠金村/高橋虫麻呂

第4期(奈良時代中期)
大伴家持/大伴池主/田辺福麻呂/笠郎女/紀郎女/狭野芽娘子/中臣宅守湯原王