大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春柳葛城山に立つ雲の・・・巻第11-2453

訓読 >>>

春柳(はるやなぎ)葛城山(かづらきやま)に立つ雲の立ちても居(ゐ)ても妹(いも)をしぞ思ふ

 

要旨 >>>

春柳をかずらにする葛城山に湧き立つ雲のように、立っても座っても妻のことが思われてならない。

 

鑑賞 >>>

 『柿本人麻呂歌集』から「寄物陳思(物に寄せて思いを述べた歌)」。「春柳」は「葛城山」の枕詞。「葛城山」は、大和・河内国境の連山。上3句が「立ち」を導く序詞。訳文中の「かずらにする」とは、柳で輪を作って髪飾りにすること。この歌の原文は「春楊葛山発雲立座妹念」で、『万葉集』の中で、わずか10文字という最少の字数で表されています。まるで漢詩のようです。