大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

窓越しに月おし照りて・・・巻第11-2679

訓読 >>>

窓越しに月おし照りてあしひきの嵐(あらし)吹く夜(よ)は君をしぞ思ふ

 

要旨 >>>

窓越しに月の光が明るく差し込んできて、山から嵐が吹きすさぶ夜は、あの方のことを思いつめています。

 

鑑賞 >>>

 斎藤茂吉は、この歌の「窓越しに月おし照りて」の句に心惹かれると言っています。普通「窓越しに月照る」というと、窓外の庭あたりに月の照る趣に解するが、「おし照る」が作用をあらわしたから、月光が窓から部屋まで差し込んでくることとなり、まことに旨い言い方である、と。

 「あしひきの」は「嵐」の枕詞。「山」や山を含む語にかかることが多い枕詞ですが、ここでは「嵐」にかかっています。語義は、足を引いてあえぎつつ登る意、山すそを長く引く意など諸説あるようです。

 

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