訓読 >>>
我妹子(わぎもこ)が夜戸出(よとで)の姿見てしより心 空(そら)なり地(つち)は踏めども
要旨 >>>
いとしいあの子が、夜、戸を開けて外に出てくる姿を見てからというもの、心は上の空だ、土は踏んでいるけれども。
鑑賞 >>>
「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」。「夜戸出の姿」は、夜に戸を開けて外に出てくる女、つまり男を待っている女の姿のこと。思いをかけている女の、大変ショッキングな場面に出くわした時の男の歌でしょうか。頭が真っ白になって心が上の空になったと言っています。