大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

夜戸出の姿見てしより・・・巻第12-2950

訓読 >>>

我妹子(わぎもこ)が夜戸出(よとで)の姿見てしより心 空(そら)なり地(つち)は踏めども

 

要旨 >>>

いとしいあの子が、夜、戸を開けて外に出てくる姿を見てからというもの、心は上の空だ、土は踏んでいるけれども。

 

鑑賞 >>>

 「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」。「夜戸出の姿」は、夜に戸を開けて外に出てくる女、つまり男を待っている女の姿のこと。思いをかけている女の、大変ショッキングな場面に出くわした時の男の歌でしょうか。頭が真っ白になって心が上の空になったと言っています。