大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

風交り雪は降るとも・・・巻第8-1445

訓読 >>>

風(かぜ)交(まじ)り雪は降るとも実にならぬ我家(わぎへ)の梅を花に散らすな

 

要旨 >>>

風交りの雪が降ることもあろうが、私の家の、まだ実になっていない梅の花を散らさないでおくれ。

 

鑑賞 >>>

 大伴坂上郎女の歌。作者の娘(坂上大嬢)のことを喩えた歌といわれます。坂上大嬢は家持の従妹にあたり、のち家持の正妻になった女性です。「実に」は、確かな夫婦関係を喩える語でもあり、この歌は、娘に求婚している者のあるのを知って、それに対して腕曲に警戒を求めたもののようです。