大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

音に聞き目にはいまだ見ず佐用姫が・・・巻第5-883

訓読 >>>

音(おと)に聞き目にはいまだ見ず佐用姫(さよひめ)が領布(ひれ)振りきとふ君(きみ)松浦山(まつらやま)

 

要旨 >>>

噂には聞いて目にはまだ見たことがない、佐用姫が領布を振ったという、君待つと言う名の松浦山は。

 

鑑賞 >>>

 三島王(みしまのおおきみ)が、後に大伴旅人の松浦佐用姫の歌に追和した歌。三島王は、天武天皇の孫で、舎人皇子(とねりのみこ)の子。この歌は、帰京した旅人から披露された歌(871~875)に和したもののようです。「君松浦山」は、君を待つ意を同音の「松」に続けた序詞の形になっています。