大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

ぬばたまの夜霧は立ちぬ・・・巻第9-1706

訓読 >>>

ぬばたまの夜霧(よぎり)は立ちぬ衣手(ころもで)を高屋(たかや)の上にたなびくまでに

 

要旨 >>>

夜霧がたちこめている。屋敷の高殿の上まですっぽり覆いつくしてたなびくほどに。

 

鑑賞 >>>

 『柿本人麻呂歌集』に載っている人皇(とねりのみこ)の歌。「ぬばたまの」は「夜」の枕詞。「衣手を」は「高屋」の枕詞。「高屋」は、邸内の高楼。一方、「高屋」は、現在の桜井市高家の地名であり、飛鳥から東にある高家の方を見て詠まれた歌ではないかとする見方もあります。

 舎人皇子は天武天皇の第三皇子で、後に『日本書紀』編纂に携わり、中心的な役割を果たしたとされます。「舎人」の名は、乳母が舎人氏であったところから称せられたのではないかといわれます。『万葉集』には3首の歌を残しています。735年没。

 

天武天皇の子女

皇子
高市皇子草壁皇子大津皇子忍壁皇子/穂積皇子/舎人皇子/長皇子/弓削皇子/新田部 皇子(生年未詳)/磯城皇子(生没年未詳)

皇女
十市皇女/大伯皇女/但馬皇女/田形皇女/託基皇女/泊瀬部皇女(生年未詳)/紀皇女(生没年未詳)