大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

鞆の浦・・・巻第7-1182~1183

訓読 >>>

1182
海人(あま)小舟(をぶね)帆(ほ)かも張れると見るまでに鞆(とも)の浦廻(うらみ)に浪立てり見ゆ

1183
ま幸(さき)くてまた還(かへ)り見む丈夫(ますらを)の手に巻き持たる鞆(とも)の浦廻(うらみ)を

 

要旨 >>>

〈1182〉漁師の小舟が帆を張っていると見えるほど、鞆の浦に波が立っているのが見えるよ。

〈1183〉無事に帰ってきてまた見よう、立派な男子が弓を射るとき手に巻いて持つ鞆、その名のとおりの鞆の浦よ。

 

鑑賞 >>>

 「覊旅」の歌、すなわち旅情を詠んだ歌です。「鞆」は、現在の広島県福山市鞆町で、かつては瀬戸内海航路の要港で、潮待ちの港として栄えました。当時の山陽道は海岸から十数キロ離れたところを通っていましたから、これらの歌は海上から見た景色を詠んだとみられます。現在は、沿岸部と沖の島々一帯が「鞆公園」として国の名勝および国立公園に指定されています。

 

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当ブログ制作にあたっての参考文献

『NHK100分de名著ブックス万葉集』~佐佐木幸綱/NHK出版
大伴家持』~藤井一二/中公新書
『古代史で楽しむ万葉集』~中西進/KADOKAWA
『誤読された万葉集』~古橋信孝/新潮社
『新版 万葉集(一~四)』~伊藤博/KADOKAWA
田辺聖子の万葉散歩』~田辺聖子/中央公論新社
超訳 万葉集』~植田裕子/三交社
『日本の古典を読む 万葉集』~小島憲之/小学館
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』~小名木善行/徳間書店
『万葉秀歌』~斎藤茂吉/岩波書店
万葉集講義』~上野誠/中央公論新社
万葉集と日本の夜明け』~半藤一利/PHP研究所
萬葉集に歴史を読む』~森浩一/筑摩書房
万葉集のこころ 日本語のこころ』~渡部昇一/ワック
万葉集の詩性』~中西進/KADOKAWA
万葉集評釈』~窪田空穂/東京堂出版
『万葉樵話』~多田一臣/筑摩書房
『万葉の旅人』~清原和義/学生社
『万葉ポピュリズムを斬る』~品田悦一/講談社
『私の万葉集(一~五)』~大岡信/講談社