訓読 ＞＞＞ 36やすみしし わご大君（おほきみ）の 聞（きこ）しめす 天（あめ）の下に 国はしも 多（さは）にあれども 山川の 清き河内（かふち）と 御心（みこころ）を 吉野の国の 花散らふ 秋津の野辺（のへ）に 宮柱（みやはしら） 太敷（ふとし）きませ…

訓読 ＞＞＞ 河上（かはのへ）のゆつ岩群（いはむら）に草むさず常にもがもな常処女（とこをとめ）にて 要旨 ＞＞＞ 川上の神聖な岩にいつまでも苔が生えないように、わが皇女の君もその岩のように変わらず永久に美しい乙女でいらっしゃってほしい。 鑑賞 ＞…

訓読 ＞＞＞ 春過ぎて夏（なつ）来（きた）るらし白妙（しろたへ）の衣（ころも）乾したり天の香具山（かぐやま） 要旨 ＞＞＞ 春が過ぎて、もう夏がやって来たらしい。聖なる香具山の辺りには真っ白な衣がいっぱい乾してある。 鑑賞 ＞＞＞ 第41代持統天皇…

訓読 ＞＞＞ 川上のつらつら椿（つばき）つらつらに見れども飽かず巨勢（こせ）の春野は 要旨 ＞＞＞ 川沿いに連なっている椿をよくよく眺めているけれど、巨勢の春野は飽きないことだ。 鑑賞 ＞＞＞ 持統太上天皇の紀伊国行幸に随行して詠まれた歌です。作…

訓読 ＞＞＞ 熟田津（にきたつ）に船乗りせむと月待てば潮（しほ）もかなひぬ今は漕ぎ出（い）でな 要旨 ＞＞＞ 熟田津で、これから船出しようと月の出を待っていると、潮の流れさえ私たちの待ち望んでいた通りとなってきた。さあ、今こそ漕ぎ出しましょうぞ…

訓読 ＞＞＞ 29玉襷（たまたすき） 畝火（うねび）の山の 橿原（かしはら）の 日知（ひじり）の御代ゆ 生（あ）れましし 神のことごと 樛（つが）の木の いやつぎつぎに 天（あめ）の下 知らしめししを 天（そら）にみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越…

訓読 ＞＞＞ 45やすみしし わが大君 高照らす 日の皇子 神ながら 神さびせすと 太（ふと）敷かす 京（みやこ）を置きて 隠口（こもりく）の 泊瀬（はつせ）の山は 真木（まき）立つ 荒山道（あらやまみち）を 石（いは）が根 禁樹（さへき）おしなべ 坂鳥の …

訓読 ＞＞＞ いざ子どもはやく日本（やまと）へ大伴（おほとも）の御津（みつ）の浜松待ち恋ひぬらむ 要旨 ＞＞＞ さあ皆の者どもよ、早く日本に帰ろう。大伴の御津の浜のあの松原も、我々を待ち焦がれているだろうから。 鑑賞 ＞＞＞ 山上憶良が、遣唐使の…

訓読 ＞＞＞ 采女（うねめ）の袖（そで）吹きかへす明日香風（あすかかぜ）都を遠みいたづらに吹く 要旨 ＞＞＞ 采女たちの美しい衣の袖を吹き返していた明日香の風も、今は都も遠くてむなしく吹くばかりだ。 鑑賞 ＞＞＞ 持統天皇によって、飛鳥御浄原から…

訓読 ＞＞＞ 大和には 群山（むらやま）あれど とりよろふ 天の香具山（かぐやま） 登り立ち 国見をすれば 国原（くにはら）は 煙立ち立つ 海原（うなはら）は 鴎（かまめ）立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島（あきづしま） 大和の国は 要旨 ＞＞＞ 大和には、数々…