大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第3

浦廻行き廻る鴨すらに・・・巻第3-390

訓読 >>> 軽(かる)の池の浦廻(うらみ)行き廻(み)る鴨(かも)すらに玉藻(たまも)の上に独(ひと)り寝なくに 要旨 >>> 軽の池の岸の周辺を泳ぎ回る鴨たちでさえ、玉藻の上に一人で寝ることはないというのに。 鑑賞 >>> 作者の紀皇女(きの…

過労自殺した部下を悼む・・・巻第3-443~445

訓読 >>> 443天雲(あまぐも)の 向伏(むかぶ)す国の ますらをと 言はるる人は 天皇(すめろき)の 神の御門(みかど)に 外(と)の重(へ)に 立ち候(さもら)ひ 内(うち)の重(へ)に 仕(つか)へ奉(まつ)りて 玉葛(たまかづら) いや遠長(…

遠けども面影にして・・・巻第3-396

訓読 >>> 陸奥(みちのく)の真野(まの)の草原(かやはら)遠けども面影(おもかげ)にして見ゆといふものを 要旨 >>> 陸奥(みちのく)の真野の草原は、遠いけれど面影としてはっきり見えるというのに、近くにいるはずのあなたはどうして見えてくれ…

岩戸破る手力もがも・・・巻第3-417~419

訓読 >>> 417大君(おほきみ)の和魂(にきたま)あへや豊国(とよくに)の鏡の山を宮と定むる 418豊国の鏡の山の岩戸(いはと)立て隠(こも)りにけらし待てど来まさず 419岩戸(いはと)破(わ)る手力(たぢから)もがも手弱き(たよわ)女にしあれば…

ともしびの明石大門に・・・巻第3-254

訓読 >>> ともしびの明石(あかし)大門(おほと)に入(い)らむ日や榜(こ)ぎ別れなむ家のあたり見ず 要旨 >>> 明石の海門を通過するころには、いよいよ家郷の大和の山々とも別れることとなるのだ。 鑑賞 >>> 柿本人麻呂が、船旅の途上で読んだ…

富士の高嶺に・・・巻第3-317~318

訓読 >>> 317天地(あめつち)の 分れし時ゆ 神(かむ)さびて 高く貴(たふと)き 駿河(するが)なる 布士(ふじ)の高嶺を 天の原 振りさけ見れば 渡る日の 影も隠(かく)らひ 照る月の 光も見えず 白雲(しらくも)も い行きはばかり 時じくぞ 雪は…

大伴旅人の「酒を讃える歌」・・・巻第3-338ほか

訓読 >>> 338験(しるし)なきもの思(おも)はずは一坏(ひとつき)の濁(にご)れる酒を飲むべくあるらし 339酒の名を聖(ひじり)と負(おほ)せし古(いにしへ)の大(おほ)き聖(ひじり)の言(こと)の宜(よろ)しさ 340古(いにしへ)の七(なな…

聖徳太子による「行路死人歌」・・・巻第3-415

訓読 >>> 家にあらば妹(いも)が手まかむ草枕(くさまくら)旅に臥(こ)やせるこの旅人(たびと)あはれ 要旨 >>> 家にいたなら、妻の腕を枕としているであろうに、草を枕の旅路に倒れて亡くなったこの旅人が哀れである。 鑑賞 >>> 推古天皇の摂…